社会保険の130万円の壁!被扶養者が個人事業主ならどうなる?

社会保険の130万円の壁

税理士の仕事をしていると、税金以外のこともよく聞かれます。

そんな税金以外の質問でよくあるのが、「給料がいくらまでなら旦那の社会保険の扶養に入れるの?」というものです。

ただ、これは奥さんがパートに出ている場合の話で、もし奥さんが個人事業をしていたらどうなるのでしょうか?

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目次

130万円の壁とは

社会保険においては、被扶養者となる(いわゆる扶養に入る)ためには、年間の収入が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、年間収入180万円未満)である必要があります。

この130万円というのは1月から12月までの収入の合計額をいうのではなく、その時点からの見込みの収入をいいます。

月給の場合だと、130万円÷12ヶ月=108,333.333…円となりますので、毎月108,333円を超える収入があると見込まれる場合は、社会保険の扶養から外れなければいけません。

ただし、この考え方は扶養される人が、給与や年金、雇用保険の失業給付による収入がある場合の話です。

扶養される人が個人事業者の場合や不動産所得者の場合

給与や年金と同じ考え方をすると、収入=売上高ですから年間の売上高が130万円以上、月額売上高が108,333円以上なら扶養から外れなくてはいけません。

事業をやって130万円というと、事業内容にもよりますが、すぐに超えてしまいますよね。

これだと、事業所得者や不動産所得者は、実質社会保険の扶養に入れないということになってしまいますね。

ところが実際はそうではなく、総収入金額から必要経費を差し引いた金額で判定します。

国民年金法における被扶養配偶者の認定基準の運用について より抜粋

3 「年間収入」とは、認定対象者が被扶養配偶者に該当する時点での恒常的な収入の状況により算定すること。したがつて、一般的には、前年の収入によつて現在の状況を判断しても差し支えないが、この場合は、算定された年間収入が今後とも同水準で得られると認められることが前提であること。
なお、収入の算定に当たつては、次の取扱いによること。
  1. 恒常的な収入には、恩給、年金、給与所得、傷病手当金、失業給付金、資産所得等の収入で、継続して入るもの(又はその予定のもの)がすべて含まれること。
  2. 恒常的な収入のうち資産所得、事業所得などで所得を得るために経費を要するものについては、社会通念上明らかに当該所得を得るために必要と認められる経費に限りその実額を総額から控除し、当該控除後の額をもつて収入とすること。
  3. 給与所得(給与、年金、恩給等)は、控除前の総額を収入とすること。
 

では、青色申告特別控除はどうなるのでしょうか?

65万円控除の場合は、これを考慮するかどうかでかなり変わってきますが、上記の取扱いを読んだだけではハッキリしませんね。

というわけで年金事務所に問い合わせたところ、青色申告特別控除の金額で判定するとのことでした。

つまり、事業のもうけが130万円以上かどうかで判定するということですね。

130万円よりも前に壁がある場合も

130万円という数字ばかりに目が行きがちですが、もう一つ見落としがちな要件があります。

それは扶養者(妻が夫の扶養に入る場合だと夫)の収入の半分未満であることです。

もし扶養者の年収が250万円だと、扶養される人の収入がその半分の125万円未満でないと扶養に入れません。

これは同居親族の場合で、別居親族の場合は、扶養される人の収入が扶養者からの仕送り額未満でないと扶養に入れません。

見落としがちですので注意しましょう。

まとめ

社会保険の扶養の判定は、税金よりもあいまいです。

税金だと計算期間も暦年で決まっていますし、扶養の要件を外れる所得だと分かれば、すぐにお尋ねが来ます。

一方、社会保険は計算根拠もこれからの見込額であったり、年収が130万円以上になったからといって、すぐに年金事務所からお尋ねがあるということもないです。

今後、マイナンバーが本格導入されればどうなるか分かりませんが、こういうあいまいなところがあるため、質問されてもハッキリと答えにくいところがありますね。

◆編集後記◆
40%オフのキャンペーンにつられてEvernoteのプレミアムを使うことにしました。
これから1年間、色々活用してみます。

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山端一弥

大阪市阿倍野区の税理士です。 税理士事務所での10年間の修行を経て独立開業しました。 このブログは税務・会計・IT・趣味などについて「少しでも誰かの役に立てれば」という思いで書いています。 詳しいプロフィールはこちら