現金管理がずさんだと現金残高が異様に増えることがあります

ファイル 2016-07-22 11 41 15-2現金の管理はできていますか?

現金の管理ができていないと帳簿上は現金がたくさんのあるのに、手元の現金が全くないということが起こります。

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目次

なぜ現金残高が増えるのか

今、次の状態だとします。

帳簿 現金0円 預金100万円
実際 現金0円 預金100万円

次に仕入代金の支払いをするために現金50万円を預金から引き出します。

帳簿 現金50万円 預金50万円
実際 現金50万円 預金50万円

その引き出した50万円のうち40万円を仕入代金の支払いに充てましたが、残りの10万円は社長が個人的な支払いに使いました。

帳簿 現金10万円 預金50万円
実際 現金   0円 預金50万円

このパターンが代表的なのですが、社長が意図的に会社のお金を個人的な支出に使った場合はもちろんのこと、社長が会社のお金と気づかずにあるいは忘れて使ってしまう場合もあります。

そのほか、残った10万円を事業に関する支出に使ったけども領収書をなくした、あるいはもらうのを忘れてしまって、その支払いをしたことも忘れてしまったという場合もあります。

この設例では10万円ですが、こういうことを繰り返すうちにどんどん積み重なって現金残高が膨れ上がってしまうのです。

現金を管理するには

現金を適切に管理するには次の方法がベストです。

現金出納帳をつけて、事業用の財布とプライベートの財布を分ける

一般的な会社ではごくごく当たり前のことなのですが、フリーランスなどの個人事業者や家族経営の会社など、比較的規模の小さい事業者ではできていないことが多いです。

領収書やレシートの束を税理士に丸投げしていると絶対無理ですよね。

私が領収書・レシート丸投げパターンの仕事を嫌っているのは、処理の煩雑さもありますが、この現金管理ができないということが一番大きいです。

現金管理ができていないことによる弊害

現金管理ができていないと次のよう弊害があります。

現金売上や現金で支払った経費の計上もれが生じる

現金売上の計上がもれていること自体が脱税なのですが、税務調査でこのことが発覚すると、この会社は現金管理もできていないずさんな会社だと思われ、さらに他のことも疑いの目で調査され細かいところをツッコまれる可能性があります。

経費の計上もれは、無駄な税金を払うことになるので、お金が出ていくヘタな節税をするくらいなら、現金管理をしっかりする方がいいです。

膨れ上がった現金が貸付金や役員賞与とされる

実際有高よりも膨れ上がった現金は、本質的には社長に対する貸付金です。

個人事業者であれば、事業主貸になるだけですので税務上は問題ないですが、法人の場合は社長に対する貸付金と認定されれば、社長から利息をもらわないといけなくなります。

まだ貸付金なら利息を収益計上するだけで済みますが、役員賞与と認定されれば、法人税では経費にならず追徴課税、社長個人は給与課税されるので所得税・住民税も追徴され、ダブルパンチになってしまいます。

多すぎる現金は金融機関からの融資においてもマイナスポイント

多すぎる現金残高を、金融機関は信用していません。

多すぎる現金は代表者に対する貸付金とみられ、そして金融機関は代表者に対する貸付金を嫌がりますので、融資を受ける際にはマイナスポイントになります。

増えすぎた現金を減らすには?

増えすぎた現金を減らす即効性のある方法は、社長が会社にお金を返すしかありません。

一括で返済できないのであれば、毎月の役員給与を多く取って、そこから少しずつ返すしかありません。

そうすると、社長の給与が増えるのでその分の所得税・住民税は増え、会社のほうは増えた役員給与は経費にはなりますが、会社の利益を圧迫します。

そうそうウルトラCはないのです。

まとめ

金融機関から借入の必要がなく、万年赤字体質で税務調査で指摘されても追徴課税が生じないような事業者であればいいのでしょうが、そうでないならば、現金管理はきっちりした方が良いです。

金融機関の融資においても、貸借対照表を重視する傾向があり、損益計算書で見かけ上黒字を出していても、貸借対照表のバランスが悪ければ融資を受けられない場合もあります。

現金管理は、誰かのためにするものではなく自分(自社)のためにするものなのです。

◆編集後記◆
昨日は支部の研修で、金融機関の方々をお招きしてお話を伺いました。
最近読んだ決算書の本でもそうですが、融資においての貸借対照表重視の傾向が強まっている気がします。

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山端一弥

大阪市阿倍野区の税理士です。 税理士事務所での10年間の修行を経て独立開業しました。 このブログは税務・会計・IT・趣味などについて「少しでも誰かの役に立てれば」という思いで書いています。 詳しいプロフィールはこちら